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2022年06月30日(木)ポートスティーブンス市レポート(毎冬に訪れる海のジャイアント)

ページID:0016134 更新日:2022年6月30日更新 印刷ページ表示

毎冬に訪れる海のジャイアント

クジラ1

日本は梅雨が終わる頃でしょうか?こちらは寒い冬がやって来ました。今年はインフルエンザとコロナのダブル攻撃で今まで以上に体調を悪くする人が増えているので、両方の予防注射を受けることを強く勧められています。しかし、マスクの着用は病院や老人ホーム以外では義務化されなくなりました。

そんなコロナとインフルエンザの渦中でも海のアクロバティックなジャイアント、ザトウクジラ達は例年同様にこのポートスティーブンスの沖にやって来ます。

クジラ8

1990年代の半ばから、ここポートスティーブンスではクジラウォッチングクルーズが運行されるようになりました。当時はクジラの頭数が少なく、見つけるのが大変だったそうで、小さな飛行機を先に飛ばせて、船を出港させる前にクジラを見つけさせていたそうです。その背景には、オーストラリアで1960年代まで捕鯨が盛んに行われていたことが挙げられ、主にミナミセミクジラ、マッコウクジラやザトウクジラをターゲットにした漁が行われていました。しかし、絶滅危機になるほどクジラの数が減少してしまい、1978年から捕鯨はオーストラリアの全土で禁止されました。

クジラ9

ザトウクジラは鯨漁が禁止されてからは数が順調に増加し、ここ最近の研究では年に10〜12%の割合で頭数が増加しているそうです。今では3万頭以上のザトウクジラがオーストラリアの東海岸を移動して来ているそうで、岸からでも簡単にクジラを見つけることができるようになりました。そして、今ではポートスティーブンスでの冬の観光の目玉となっており、毎年5月下旬から10月末にクジラウォッチングクルーズが運行されています。

特にザトウクジラはアクロバティックなことで有名でジャンプをしたり、尾びれや胸びれを水面に叩きつけたりして他のザトウクジラとコミュニーケーションを取ることがよくあるのでクジラウォッチングに最適です。しかも沿岸から3~5kmの範囲でも泳いでいるので簡単に、見つけることができます。

クジラ2 クジラ5

 クジラ6 クジラ7

しかしなぜ彼らは毎年、南極からここオーストラリアまでの10,000kmという長い距離をわざわざ往復するのでしょうか?それにはいくつかの説があります。

  • 出産のため。生まれたばかりの赤ちゃん鯨はまだ体温を保つ分厚い脂肪の層がありません。極寒の南極で出産をしてしまうと赤ちゃんが体温の維持をすることが難しく生き延びる可能性が低いから、暖かいオーストラリアの北の海まで来て出産をしている。
  • 大人の鯨でも冬の南極で生き延びるための脂肪層を維持するのが大変だから、北の海に移動して脂肪層が薄くても大丈夫な温暖な気候で冬を過ごす。なので、移動中はほとんど摂食はせず、自らの脂肪層をエネルギー源としている。

ポートスティーブンスでは3つの会社がクジラウォッチングクルーズを運営しています。ビーチと青い海が売りのポートスティーブンスはどうしても冬になると観光客が減ってしまうのですが、このクジラウォッチングが街に活気を与えてくれます。

また、街の所々にクジラのアートがあります。最近では道に3Dのクジラのチョークアートが描かれました。ここを訪れた際には見つけてみてくださいね。

クジラ3

 

赤ちゃんクジラの尾びれと同じサイズで作られたアート

クジラ4

 

「写真提供:Lee Matthews」