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2023年03月17日(金)ポートスティーブンス市レポート(時折現れるモーゼの道)

ページID:0018657 更新日:2023年3月24日更新 印刷ページ表示

時折現れるモーゼの道


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モーゼの道

 ここポートスティーブンスにもモーゼの道が時折現れるのはご存知でしょうか?潮の満ち引き、海流の流れ、そして砂の堆積がうまく合わさると本土と島を繋ぐ砂の道が現れます。Fingal island (フィンガル島)という2k mほど本土から離れた島では、潮が引いている数時間の間だけ海水面が砂の堆積されたところよりも低くなり、島へと歩いて行けるようになるのです。しかし、潮の満ち引きの時間をしっかりチェックしていないと、潮が満ちて砂の道は海面下へ消えてしまい島に取り残されてしまいます。過去に何人かが泳いで島と本土の間を渡ろうとしましたが、潮の流れが強すぎて泳ぎ渡ることが出来きない人もいました。そのため、引き潮の前後一時間の間に島の往復をする事が勧められています。そして、この砂の道は潮が引いた時にいつも現れるものでもありません。海が荒れて強い高波が起こると、この砂の道も波の勢いで壊され、流されてしまい、島と本土を繋ぐ砂がまた堆積するまでに数ヶ月かかります。
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遠くから見たモーゼの道
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実際に渡っている様子

 フィンガル島にはPoint Stephens Lighthouse(ポイントスティーブンス灯台)と呼ばれる灯台があります。1770年にキャプテンJames Cook (ジェームス クック)がポートスティーブンスの端に位置する低い岩場を“Point Stephens”と名付けました。それが今のフィンガル島です。フィンガル島の周りには岩礁が広がっていているのですが、シドニーからポートスティーブンスに向かう船の多くがそれを知らずに間違った方向に進んでしまい、1862年に灯台が建てられる前までは24隻の船がフィンガル島の付近で難破してしまいました。

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ポイントスティーブンス灯台

 1865年には灯台の番人をする三つの家族が一つ屋根の下で住める大きな家も建てられました。そして、この家族達はミルクを牛から摂り、野菜畑や果実園を作り、鶏も飼って、海からは魚やロブスターを釣り、ほぼ自給自足の生活をしていました。馬は本土への交通手段として使われていたそうです。

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ポイントスティーブンス灯台の昔の様子

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家の跡地

 灯台は、最初は灯油を使った装置で赤と白の光を海へ照らしていました。1960年には電気を使うライトに変わり、1973年には自動運転されるようになり番人達とその家族が島に住む必要がなくなりました。1989年からは太陽光発電を使うようになりました。惜しくもこの番人が住んでいた家は1991年に火事になり、ほぼ全焼してしまいました。

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ポイントスティーブンス灯台のライト

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家の跡地
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家の跡地

 現在は観光名所の一つとして今も健在な灯台と番人たちが昔住んでいた家の跡地を見に行くツアーが行われています。この灯台は去年に160歳の誕生日を迎えました。モーゼの道が現れた際には是非このポイントスティーブンス灯台を見に行ってみてはいかがでしょうか?