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マイペースなウォンバット
ある日の日没前。「ベランダの向こうのユーカリの樹に風変わりなコアラが来ている、見に来ないか」友人のKから電話がかかってきました。写真のコアラです。コアラというと、幹に抱っこしていたり、人に抱かれたりしているあの可愛い格好が普通ですが、背中で上向きに寝そべっているというのは初めてです。
今回は大海に浮かぶ島大陸オーストラリアならではの動物たちの紹介編です。コアラ、カンガルー、ウォンバット、エキドナ、プラティパス(かものはし)、タスマニアンデビルなどオーストラリア特有の動物たち(特に有袋類)が数ある中で、やはり筆頭格のひとつはコアラでしょう。当市のティリガリーペニンシュラー地区は中でも最大のコアラ保護区域、観察区域として知られており、民家の庭や公園でもよく見られます。
コアラの大敵は犬などの家庭ペットと車、それに先日も起きたばかりの山火事も。至る所、車道脇の標識に、コアラに注意、と出ているのは勿論のこと、今年の交通事故死亡頭数のサインも各所に。数えきれないほどの種類のユーカリの中でもコアラが食するのは数種類に限られています。その他のユーカリの葉は毒なので、有害でないユーカリ林の保護や傷ついたコアラの病院などそのケア、管理にも力を入れています。早朝、海辺の散歩道の樹上で、また、日曜日に立つ公園マーケットへの小道の樹上で目にしたり。動物園とは違い、やはり自然の中で出会うとその感動も格別です。
次は、やはり、カンガルーとワラビー(小型)でしょう。特に当地のカンガルーの多さには驚くばかりです。ゴルフをしていてもギャラりーよろしく数頭がティーオフグラウンド脇で立って見ていたり、フェアーウェイで平気な顔で草を食み続け、逃げようともしません。ネルソンベイゴルフの森に棲む生息数は優に150頭以上と言われます。
早朝磯場で釣りをしていると後ろで何かの気配が。何と数頭が立ち止まってじっとこちらを見ていることも。またこちらのシニアー同好会の月例会議の際も、窓の傍を数頭がピョンピョンと。現地の皆さんは慣れっこでもこちらは何か夢見心地になります。
二大スターに勝るとも劣らない、私のお気に入りは大きなネズミの仲間、ウォンバットです。人の存在など全くと言っていいほど気にせず、マイペースでむしゃむしゃと草を食み続ける姿は大物の貫禄さえ感じさせます。ネズミの仲間と聞いて驚きです。タスマニアで出会った野生のウォンバットは触れても平気な顔で意に介さぬそぶりでした。
大ハリモグラのエキドナ、民家の屋根裏に住み着くオポッサム、悪魔の形相のタスマニアンデビル、ニオイネズミやバンディクート、水中ではカモノハシ、などなど有袋類には枚挙に暇がないほどです。フクロオオカミもいましたが、人間が持ち込んだ犬と交わり、ディンゴといわれる新種として存在しています。真獣哺乳類との生存競争に敗れ、オーストラリア、ニュージランドにその行き場を得た有袋類の話で今回は終わりです。
2018年 第3号
2018年08月31日 17時52分