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ポートスティーブンスの市役所とコアラホスピタルの協力のもと、コアラサンクチュアリーという、より自然の環境に近い状態で怪我や病気をしたり、孤児になったコアラをリハビリする施設が2020年9月に作られました。
実は前の記事でも紹介したポートスティーブンス市の火事の影響で、ポートスティーブンス市のコアラは約250頭ほどしか残っておらず、このままだと10年後には絶滅の危機に瀕すると言われています。ここ10年の間でコアラの頭数は60%ほど減少してしまったらしいです。
コアラ病院は1987年に作られ、傷を負ったり、病気になった野生のコアラを治療し、リハビリをさせて野生に返すという活動をしていました。そして、事故や火事で親を亡くして孤児になったコアラも自立できるまでケアをし、野生に返しています。獣医と経験を積んだ野生動物ケアのスタッフ、そしてたくさんのボランティアの人々がコアラのケアを毎日行っています。新しくできたコアラサンクチュアリーという施設には4つのI C Uルームがあり、X-rayの機械なども装備され、コアラのケアをより良くできるようになっています。
ICUルーム
そしてリハビリ中のコアラは自然と近い環境で飼育されます。柵は木の根元の方にしかなく、コアラ達は野生でいる時と同じように木の上の方で寝れるようになっています。225mのサンクチュアリースカイウォークは木の高いとこにいるコアラたちを同じ高さで観察できるように作られました。
コアラは一日20時間睡眠をします。なぜなら、コアラの食べるユーカリには毒素が含まれているので、消化するのにとても時間がかかります。それを消化するために長く睡眠を取ると言われています。
コアラは600種類以上あるユーカリのうち、30種類しか食べることができないそうです。体内にいる特別なバクテリアが一定のユーカリの葉を消化するのを手伝います。このバクテリアは自然にコアラの体内にいる物ではなく、赤ちゃんの時に母親から食べさせられる母親の糞から赤ちゃんの体内に取り込まれるそうです。
コアラはアボリジニの言葉で“No Drink”。 ”飲まない”という意味で、その名の通りほとんど水は飲まず、90%の水分はユーカリの葉から取り入れるそうです。
レスキューされたコアラは一頭一頭名前が付けられ、どこでレスキューされたのか、どんな病気、事故にあったのか、治療の経過、そしてどこで自然に返されたのかウェブ上で報告されています。中には治療された後も野生の生活に戻るのは難しいと判断されたコアラは今も施設で保護されています。
レスキューされたコアラがかごの中にはいっている様子
この施設ではスタッフが訪れる人々に環境保護の大切さやコアラが瀕している危機について、そしてコアラが野生で生活するのに何が必要なのかを教えています。コアラの減少の原因は火事だけではありません。毎年、約4000頭のコアラが交通事故や飼い犬に襲われて死んでいるらしいです。
そして、この施設ではコアラを保護する為の資金の募金活動やコアラが食べるユーカリの木の植え付け・栽培も行っています。詳しくは下記のリンクにて
https://www.portstephenskoalasanctuary.com.au/visit/koala-crusader<外部リンク>